9-KE で Seagate HDD のシリアルポート(ターミナル)に接続する
はじめに
カモン
9-KE を使って Seagate 製ハードディスク 7200.11 シリーズのシリアルポート(ターミナル)に接続する方法をまとめてみました。
Seagate製HDD 解析まとめ wiki はこちらです。ロック解除について総合的な情報が必要ならば参照してください。
お約束
このページを見て、起きた事は全て自己責任で対応して頂きたいと思います。当方、いかなる補償もできません。
-
このページは不正確な情報を含んでいる可能性が有ります。
-
このページに由来するいかなる損害も当方では補償しません。
-
このページに示した作業によって、ハードディスクに損傷を与える可能性が有ります。
-
このページに示した作業によって、パソコンあるいはその周辺機器に損傷を与える可能性が有ります。
-
このページに示した作業によって、作業者およびその周囲の人畜に重大な障害を与える可能性が有ります。
必要なパーツを入手する
部品 | 数量 | 説明 |
9-KE
|
1 |
9-KE の製造元カモンから直接手に入れることはできません。秋葉原近辺だと千石電商
もしくは CompuAce で手に入ります。千石電商の場合は、2
号店の入り口付近の(建物外)網ラックにつるしてあります。下の方に有るかもしれないので良く探すか、店の人に聞いた方がいいと思います。CompuAce
の方も店の入り口付近(建物中)に有ると思います。 |
2520-1X4
|
1 |
2mm ピッチコネクタのハウジングです。千石電商
で手に入れます。 |
2520-10GT
|
1(2) |
2mm ピッチコネクタのピンです。千石電商
で手に入れます。(2) としたのは失敗を考え予備を買うためです。1 個で 4 ピン分です。2 個買うと 2x4 ピン手に入れることになります。 |
次は各部品の画像です。ロッドや加工仕上がりによって色や質感が変わることが有ると思います。
PDC コネクタを分解する
PDC コネクタのハウジングは、精密ドライバーでこじ開け、分解する事が出来ます。携帯電話と繋ぐ側(先端側)は 2 つの爪を外側に広げるように、
ケーブルの根元側は爪を内側に押し込むようにします。先端側の爪を先に外すと、分解しやすくなります。
ケーブルを解析する
9-KE は今のところ 2 種類が確認されているようです。今回分解したケーブルは {橙、黒、赤、茶}
の組み合わせでした。以下この色の組み合わせを前提に書いていきます。
コネクタの溝が「無有-有無」になっている側から見ると、表側{橙、黒、茶}、裏側{赤}になります。溝が「有有-有有」の側から見ると、表側{赤}、裏側{茶、黒、橙}になります。もしコードの色が違うようでしたら、下の画像を参考に
TX, RX, GND を見分けてください。
コードの色と信号名の対応は次の表のようになります。茶と赤は両方とも GND 信号になります。ハードディスクの GND に両方とも接続した方が信号が安定します。
色 | HDD側信号名 | PC側信号名 |
橙 |
TX |
RxD |
黒 |
RX |
TxD |
茶 |
GND |
GND |
赤 |
GND |
GND |
Seagate ハードディスクに接続できるように加工する
PDC コネクタの結線を確認したら、PDC コネクタを外して、2mm ピッチコネクタを取り付けます。2520-10GT (ピン)にコードを取り付け、
2520-1X4 (ハウジング)に差し込みます。
ピンへの取り付けは本来圧着でするべきですが、少量の半田にて付けて、締める方法で取り付けました。 コードの順は、下の画像のとおり、1.5Gbps
ジャンパを空けて、{赤、茶}、橙、黒 となります。{赤、茶} は 1 つのピンに 2 本を接続します。
ピンにはハウジングに引っかかり、抜けないようにする突起があるので、その向きを確認して 2520-1X4 に差し込んでください。
短期間の使用であれば、問題ありませんが、コネクタ取り付け部分は切れやすいので、折り曲げや引張りの負担が掛からないように接続部を保護してください。
回路シミュレーション
9-KE 内蔵のレベル変換回路を LTspice でシミュレーションして検討した時の資料を紹介します。
9-KE 分解記に示された回路を元にシミュレーションが 実回路に近い振る舞いをする様に修正しました。RxD - TX と TxD - RX
を分離してあります。LTspice ソース他は zip ファイルにまとめてあります。
RxD - TX 側のシミュレーション
RTS, CTS は 9-KE 内部でショートしてあり、電源として使用しています。Rzrts, Rzcts, Czrcts, Rzrxd, Czrxd は
PC の RS-232C 端子インピーダンスとケーブル延長して 9-KE に 接続した場合のケーブル容量負荷です。Rztx, Cztx はハードディスク側の
HDD_TX 端子インピーダンスと 9-KE ケーブルの容量負荷です。Dx1 〜 Dx3 は実際の回路には存在しません。 トランジスタの NPN
接合の性質を顕在化するために存在します。ただし、このシミュレーションでは NPN 接合の存在を無視できます。
波形は次の様になります。RxD 端子の振幅が +3.8V 〜 +0.2V 程度になっています。負側の振幅が無く、正側の振幅も規格の範囲に
僅かに入る程度になっています。Vrts を正と負に振っているのは、RTS 端子が制御された場合の挙動を観測するためです。
TxD - RX 側のシミュレーション
Rztxd, Cztxd は PC の RS-232C 端子インピーダンスとケーブル延長して 9-KE に 接続した場合のケーブル容量負荷です。Rzrx,
Czrx はハードディスク側の HDD_RX 端子インピーダンスと 9-KE ケーブルの容量負荷です。Rzrx で示されるように、 HDD_RX 端子は
HDD 内部で +5V (または +2.5V) にプルアップされています。 Dz1 〜 Dz7 はツエナーダイオードを模しています。Vz=3.6V
程になるはずです。 Dx1 は実際の回路には存在しません。トランジスタの NPN 接合の性質を顕在化するために存在します。ただし、このシミュレーションでは
NPN 接合の存在を無視できます。
波形は次の様になります。特に問題は無いと思われます。Q1 のベース電圧波形を示していませんが、Q1 を破壊するような 条件になっていないはずです。
9-KE の問題点
9-KE は Seagate ハードディスクとの接続において問題が少ないケーブルです。しかし、RS-232C の仕様に照らし合わせると、
幾つか問題が有ります。殆どの PC や USB to RS-232C コンバーター、ターミナルソフトでは問題を起こさないと思いますが、
もし、何かおかしいようであれば、以下の問題が有る事に留意してください。
-
[文字化け、通信不能の可能性] RS-232C の振幅仕様を満たしていない。本来なら RxD 端子を少なくとも +3V 〜 -3V
の振幅で駆動する必要があります。しかし、負電圧側の振幅がありません。 (RS-232C 端子の特性による) 〜 ほぼ 0V の振幅しか有りません。
→ノート PC、(ISA バススロットを備えるような)古い PC 等で 問題を起こす可能性が有ります。 - [通信不能、文字化けの可能性] RTS
をアクティブにしないと 9-KE が動作しない。
→ターミナルソフトの フローコントロールを変えてみてください。Hardware(RTS/CTS) か None のどちらかで上手く動作する可能性が有ります。
blog へ戻る
資料置き場へ行く