次の表は /sys/power/state に書き込む文字列と kernel の挙動です。PC (パソコン) で調査したのでアーキテクチャやプラット・ホームの機能で詳細な挙動に違いがあるかもしれません。関連ドキュメントは /Documentation/power/states.txt です。
書き込む文字列 | プロセス稼働 | CPU稼働 | 主記憶内容 | 電力管理 | ACPI 相当 | 主要な dev_pm_ops call back[1] |
freeze | 停止 | 継続 (idle 状態が長くなる) | 保持 | 周辺 IO デバイス 低消費電力化 | S0 | susped - (wake up) - resume |
standby | 停止 | boot processor は最小限の内部状態を維持して停止[2]、それ以外の processor は内部状態を失って offline。復帰過程では boot processor が復帰後、その他の processor を online にしている | 保持 | 周辺 IO デバイス + CPU とその周辺 + 主記憶 低消費電力化 | S1 | susped - (wake up) - resume |
mem | 停止 | boot processor は内部状態が待避されて停止[3]、それ以外の processor は内部状態を失って offline (全停止に至る過程で boot processor 以外を offline にしている。復帰過程も boot processor 復帰後、その他の processor を online にしている) | 保持 | 周辺 IO デバイス + CPU とその周辺 + 主記憶 低消費電力化 (standby よりも多くの復帰操作が必要な積極的な低消費電力化) | S3 | susped - (wake up) - resume |
disk | 停止 | 内部状態を失って全停止 (全停止に至る過程で boot processor 以外を offline にして hibernation image 作成、online にして hibernation image を swap 領域へ書き出している) | swap 領域へ待避した後、喪失 | wakeup に必要な回路以外は電源 off | S4 | freeze - (hibernation image 作成) - thaw - (hibernation image 書き出し) - poweroff - (power_down) - (wake up) - restore |
[1] 接尾辞 _early, _late, _noirq、接頭辞 runtime_ が付く call back は省略しました。 [2] CPU に電源が供給されています。CPU 内部の詳細は公開されていないので推測するしか無いのですが、スタティック動作の回路は状態を維持します。ダイナミック動作の回路は状態を失い、PLL の様な clock 供給・分配系の回路は停止すると考えられます。 [3] 一般的に専用のハードウエアが processor の内部状態を待避復旧しています。このような専用のハードウエアは簡易なプロセッサとプログラムの組み合わせで構成されることもあります。